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世話好きで気の利く彼女を彼は見つけると、
放課後の校内の戸締りに付き合せていた。
「おい!櫻、行くぞ。」
「はい。」
彼女の嬉しそうな笑顔で、誰もが彼を好きな事は分かっていた。
誰もいない廊下を二人だけで歩く…
それが、彼の出来る精一杯の行動だった。
「櫻。」
好きだ…。
彼は、教師という立場を忘れ…
いつもその言葉を、言ってしまいそうだった。
彼女も彼を好きだが、彼に好きだと彼に言ったわけじゃなかった。
言いたくても、彼女は自分に自信を持てず言えなかった。
自分という人間を探し、見つけられなかった…。
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