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恐る恐る、彼はもう一度彼女に尋ねた。
「高原先生が好きなのか?」
ー違うと、言ってくれ。
彼は、そう願いながら…時を立ち止まった。
ー聞いてどうする?だけど…。知りたい。
うつむいたまま、考え込んでいた彼女がおもむろに顔をあげ彼を見つめた。
「私が、好きなのは。」
二人の間に、沈黙が続いていた。
彼は、彼女の言葉を待っていた。
まだまだ幼い彼女に言わせるなんて、どうかしていると思いながらも…
彼は待っていた。
高原先生は彼よりも背が高く、容姿もよく、
同じ年齢だったが童顔の彼とは真逆で、
女子生徒から人気があった。
高原先生が担当していた学年は、彼女とは別の学年だったにもかかわらず、
人懐っこい彼女は、時々高原先生と話をしているのを
彼は頻繁に目にしていた。
耳にしてしまった以上、彼は知りたかった。
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