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「……せいちゃん、その子のこと好きだろ」
「はぁ⁉」
律夜の言葉に、星來は文字通り飛び上がった。
「いや、だって見たことないくらい嬉しそうっつーか、優しそうに笑ってるから。なぁ、夕咲?」
「そうね。今は桃色が見えるし」
「こんな時まで色見ないで!」
無性に顔が熱くなるのを感じながら星來が声を荒げれば、律夜がニヤニヤと悪戯に笑う。
「否定しないってことは、図星だな~?はぁ~、せいちゃんはリア充かよ!絶対ないと思ったのにな~!」
「……その髪引きちぎるよ?」
星來が冷たい視線を向けて言うと、「や、やめろよ!」と律夜が青ざめた顔で一歩後ずさった。そして、一つに結んだ髪を守るように触れる。
「せっかくここまで伸ばしたんだからさ……」
「津雲くん、自分の髪の毛気に入ってるものね。そういえば、何で急に髪伸ばし始めたのかしら」
出会った頃は、肩にもつかない長さだったはずなのに。
夕咲が疑問に思ってそう尋ねれば、「特に理由なんてない」と律夜は白々しい反応を返した。
「うわ、自分ばっか何も言わないのズルい。もう、りっちゃんって呼ばないからな」
「いつも呼んでくれてないじゃん!」
思わず椅子から立ち上がり、律夜は悔しそうに叫んだ。その顔が面白く、星來は満足そうに笑った。
「で、結局何でなの?」と星來が話を戻す。
「そんなに知りたいのか?」
「なんとなく気になるじゃん。……弱み握れるかもしれないし」
「聞こえてるぞ、せいちゃん」
わざと聞こえるように言ったからね。
ジト目になる律夜に、星來は揶揄うように言った。
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