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「今日、図書室の本で読んだんだ。
『褒めて伸ばせ』」
「……特集コーナーにあったやつですよね。
私も読みましたよ。
『ダメな部下は褒めて伸ばせ』」
前半を意図的に隠したことに深い意味がある気がしますが……、と思いながらも、
でも、課長に褒められると嬉しいな、と思う羽未から笑みがこぼれた。
「いやいや、よく頑張った」
と繰り返し、帯刀は箸を置く。
「あれっ? 美味しくなかったですか?」
と母親に殴られそうなことをつい言ってしまったが。
……いや、と言った帯刀は羽未のところに来た。
「あとで食べようかと思って」
「え? なんでですか?」
と言う羽未を帯刀は、ひょいと抱き上げる。
「お前があんまり可愛い顔で笑うからだ」
と言う帯刀こそが、初めて会った頃からは想像もつかない気を許した顔で笑いかけてくる。
いやいやいやっ。
課長、最近、芳賀さんよりタラシになってませんかっ? 家の中ではっ、
と思いながら、いきなり抱き上げられたので、少しめくれてしまったスカートを羽未は必死に直した。
帯刀はそんな羽未を微笑しげに見つめている。
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