5人が本棚に入れています
本棚に追加
ステレオタイプと本当の色
小さいときに、おえかきした絵の
女の子のくちびるは
赤やピンクにぬっていた
今は自分の、本物の唇に
時にはクレヨンみたいな
水彩絵の具みたいな
色鉛筆みたいな
その時によって様々な
リップで唇に色を乗せている
唇が
赤かったり、
ピンクだったり、
オレンジだったり、
キャラメル色だったりと、
血色良さそうに塗られた唇は
ワントーン白くなった肌とよく調和して
綺麗になったな、って感じるね
白雪姫の冒頭の文章みたい
なんて自惚れているみたいだけど
――でも、化粧を落として
鏡に映る自分の唇を見ると
もはやグレーに近いくらいで
赤やピンクなんて、ほど遠い色
何も飾らない唇は
赤でもピンクでもない
それでも、赤やピンクだと思っているのはなんでなんだろう
赤い唇は
ステレオタイプの一欠片なのかもしれない
「こうあればいいなという願望」
その願望はいつから、どこから来るのか
作られたものなのか、それとも本能か
それを見極めるのは難しいけど
赤やピンクの唇だけじゃなくて
何も飾らない素のままの唇も
どちらも好きでいれたらと思う
最初のコメントを投稿しよう!