ドッペルゲンガー

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 彼女は私のドッペルゲンガーだ。顔もスタイルも骨格まで同じ人間。誰がどう見ても同一人物だ。見分けがつくわけない。私はもう一人の私を手に入れたのだ。  そうはいっても、私と出会うまでの彼女は別の人間として戸籍を持ち、別の両親から産まれ、毎朝職場に出勤していた。出会ったその日、私たちはお互いの同意の元、同じ人間として二人で生きていくことにした。片方の消息を絶って、二人で一つの戸籍、親、職場を持つことにした。私の方が給料の高い職に就き、彼女はつい最近両親が他界したこともあって、私の人生を残すことにした。これで私たちは一人で二人分の行動をできるようになった。職場で仕事をしながら家事をし、両親に親孝行をしながら友達と旅行に出かける。もちろん、お互いに負担がかからないように交代で苦労を担う。疲れた日や風邪を引いた日なんかはもう一人が代わりに仕事も連絡もやってくれる。こんなに楽なことはない。ドッペルゲンガー様々だった。
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