ドッペルゲンガー

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 その日は久々の休暇だった。仕事・家事は午前中に終わった。親・友達との約束もない。昼食を食べた私たちは二人でゆっくりとテーブルを囲んでティータイムにしていた。私がずっと前から気になっていた高価なテーブル。ティーカップも新調した。これも二人で生活することで上手くいくようになった仕事の成果だ。部屋の家賃も前の倍以上のマンションに住んでいる。  彼女と目が合う。私はにっこりと微笑みかけるが、彼女は少し下を向く。自分の顔を見たようで気恥ずかしいようだ。見た目は全く同じでも、中身まで一緒とはいかない。私は彼女のこういうところは嫌いじゃない。それでも、もう一年経つのだから少しは慣れてもいいのもだけれど。フフッと少しおかしくなってしまう。  私は彼女に  「私の生活にも慣れた?まあ、一年近く経つものね。慣れて当然か。これからもよろしくね、私。」  と言った。
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