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そう言われて、ジョバンニは恐る恐る小箱を差し出します。
ゴーシュが蓋を開けてみると、そこには、確かに人のものらしき指が入っておりました。第二関節の辺りで、スパンと綺麗に切り落とされています。
爪は既に血の気が失せて黄ばんでおり、肌もすっかり黒ずんで、まるで枯れ枝の様でした。見ていて、あまり気味の良いものではありません。
「如何でしょう、先生?」
ジョバンニが、顔色を伺うように云いますと、『先生』と呼ばれて気を良くしたゴーシュは、うーむと腕を高く拱いて答えます。
「これは、人の中指だな。」
「中指?どうして解るのですか?」
「ご覧。この第一関節の脇腹の辺り。硬く凝って膨れている。これは、『ペンだこ』だよ。」
「ペンだこ??」
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