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「どなたか、中指を落とした方はおりませんか?左手の中指を、落とした方はおりませんか?!」
中指が入った小箱を掲げて、廊下を歩いておりますと、直ぐに複数の学生に声を掛けられます。
「何だ何だ」「なんの騒ぎだ?」
「指を落とした者を探しているそうだ。」
学生達が集まって来て、たちまち大騒ぎになりました。そこへ、背の高い男先生がやって来て言います。
「ここは、イーハトーヴ農学校だ。生徒じゃない者が、勝手に入ってはいけないよ?」
居丈高な調子で言われて、ジョバンニは、小さく身を竦めました。
「ごめんなさい。僕は、落し物を届けに来たのです。コレを失くして、お困りの方はおりませんか?」
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