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「どれどれ」と箱の中を覗き込んだ途端、男先生は、太い眉毛を不愉快そうに捩らせて言いました。
「うわ、何だねコレは?本当に、人の指が入っているんじゃあないか!なんて薄気味悪いんだろう。すぐに持ち帰りなさい!」
キツい調子で言うものですから、ジョバンニは、すっかりしょげてしまいます。
追い払われたジョバンニは、とぼとぼと歩いて校舎の裏にやってきました。大きな物置小屋がポツンと佇む、寂しい場所です。小屋の壁には、古い黒板が掲げられていました。
そこには、白墨の力強い文字で、こんな事が書かれております。
「下ノ畑二オリマス。賢治」
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