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「下の畑?」
首を傾げながら、ジョバンニは畑の方へ足を向けました。
小屋の脇道を下ると、大きな野菜畑が広がっています。
柔らかな陽射しが射し込むそこには、青々と葉を繁らせた玉菜や人参や大根が…スイカやトマトやナスや南瓜が、季節など関係なく、美味しそうに生っていました。
とても不思議な畑です。とても広い畑です。
ですが、やはり誰もおりません。
ジョバンニは、また少しガッカリしてしまいました。畑の脇にある古いベンチに腰掛けて、大きな溜息をつきます。小箱のふたをそっと開ければ、少し黒ずんだ左の中指がありました。
「一体、誰が落したのだろう?さぞ困っているだろうなぁ。」
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