①山猫のこと。

3/4
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「なんだね、ジョバンニ。今日は俺に何の用だい?」 口の大きな山猫は、自慢の毛皮をファサファサと揺すりながら訊ねます。 黒いベルベットのベストを着て気取っていますが、いつジョバンニを頭からペロリとやってしまうかも解りませんでした。 「これを見て欲しいんだ、山猫。」 そう言って、ジョバンニが小箱の中のを見せますと、山猫はフンフンと鼻を鳴らして言いました。 「指か。こりゃ、人間の匂いだな。」
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!