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思っていた通りの答えが返って来ます。
やはり、これは人間の指なのです。
「誰の指なのか解るかい?」
ジョバンニが訊ねると、山猫はニタリと笑って言いました。
「知らないねぇ。俺の指でない事は確かだなぁ。」
──そうして。
山猫は、またいっそう笑うのです。
これ以上は、もう何を訊いても無駄のようでした。この指の何がそれほどツボに入ったのか、山猫は狂ったように笑い続けています。
ジョバンニは、山猫にお礼を言って『注文がやたらと多い料理店』を後にしました。
人っ子一人通わぬ森の奥。
山猫のケタケタという笑い声が、いつまでもいつまでも不気味に響き渡っていました。
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