殺生な・・・善次郎!

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殺生な・・・善次郎!

『ここで、私が出ていたら、彩乃が、お福の前で、この放蕩の人で無しと罵るだろうて』 と若旦那善次郎の脚は止まり申した。 棟梁の自宅に帰りして。 『どうでぇ?若旦那!』と棟梁問えば。 若旦那善次郎ただただ涙涙の憂目。 『お福、お嬢を抱きたくはござんせんか?』 『お福を抱きしめたいのは山々為れど、彩乃には申し立ての無き事!』 『ましてや、親父様、お袋様には合わす顔がありやせん、棟梁!』と嘆き涙の善次郎。 『弥生(ヤヨイ)・・・・お稲荷様の初午の昼時・・・また、アッシがお福お嬢と彩乃若女将を連れ出しますから、またまた遠くから・・・』 『それは、殺生な・・・』と涙の若旦那。 『殺生だぁ~・・・これもみんなお前様から出た身のサビ!』
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