FM電波

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FM電波

子供のころ、俺の住んでた家は10階建てのマンションの2階であった。 昭和のマンションにしては珍しくエレベーターがついていた。 まあ10階建てだから当たり前か。 当時できたばっかりのマンションだったので決して大島てるさんのご推奨の幽霊などのいわゆる「曰く付きの物件」では無い。 その中で不思議なことがあった。 俺の部屋は1番北側に面していた。 窓からは六甲山の四季が楽しめた。 俺は部屋にいる時はいつも、趣味であるFMラジオを聞いていた。 FM大阪。 しかも当時人気の「FMレコパル」という雑誌で番組チェックを怠らなかった。 俺はFMの電波と言うものは、直進性が強いものと聞いている。 だから俺の部屋に誰かが入ってくるときにはFMラジオの電波が遮蔽されて、少し「ザッ」と言ったような音に邪魔されて聞こえる瞬間がある。 ほんの一瞬である。 これはよく部屋に母親が入ってくるときに「ザッ」と言う音がして、音楽などが途切れて通り過ぎたら普通に戻るので、子供心に「なるほどな。直進性の強い電波は人間が通ったら遮蔽されるんだな」と理解していた。 まあ知識が増えた。 しかしこれが時々不可解なことに、家に俺1人しかいない時にも時々「ザッ」と言う音がする時があった。 「ん?」 俺は「また誰か部屋に入ってきたのかな?」と思って振り向いて確認してみるけども誰もいない。 当たり前だ、今は俺一人しか家にいないからだ。 全く「怖い」と言う雰囲気はなかったが、「何か目に見えないものが今通過したんだろうなぁ」位の理解をしていたと思う。 多分、俺に霊感があれば振り向いた時に何か見えたのだと思う。 それが霊なのか、もののけなのかは今もってわからない。 この現象はその後も何年も続いた。 小学校6年生の話 オチなし
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