2人が本棚に入れています
本棚に追加
それは確かに運命の出会いだった。
風になびく漆黒の髪は肩下で綺麗に切りそろえられていた。
肌寒くなってきたにもかかわらず夏の制服を着て
屋上、柵の向こう側にいる彼女。
「あの、」
別に止める気なんてなかった。
ただ単純に興味を持ったのだ。
その顔に、声に、性格に。
しかし彼女は振り返らずに、私の視界から消えていった。
最悪の形で。
ふわりと浮く体。重力に逆らわず下を向く頭。
私はただ呆然と彼女を見ていた。
嗚呼、意外と女の子らしいふくよかな体をしているんだな、
なんて考えながら。
最初のコメントを投稿しよう!