同窓会

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、、、ったく、伊藤も、、、。 人に行かせるんじゃねぇよな。 まぁ、伊藤は立場上?身動き取れねぇから、この場合は、仕方ねーけど。 実際、響と委員長の事が気になって仕方ないってとこだろ。 あの男も、何だかんだ言って、嫉妬心出しちゃってよー。 素直に認めればいーものを、、、。 ったく、響も、何だ? あんな大学デビューの男と、何楽しそうに話し込んでんだ? まぁ、あの老夫婦カップルに波乱が起きるのも楽しそうだけどな!!! 伊藤も、いつも余裕かましてるから、もっと焦ればいーんだ!! 「おっす!!」 2人の間から、声をかける。 「浩介!また来たの??どーしたの?」 「おー!なんだよ!来ちゃ悪ぃかよ!!」 響が呆れ顔をしているが、そんなのは、どーでもいい。 「何楽しそうに話してんだよ!俺も仲間に入れろ!」 2人の間に割り込んで座る。 「別に普通に話してただけだよ。ねぇ?松下君。」 響が答える。 ふぅん、、、。 松下君、、、ねぇ?? 「川合君の話してたんだよ。ね、島田さん。」 委員長が響に向かって笑って言う。 はぁ?俺の話だと?? 「東大なんて、本当すごいって。みんな女子が騒いでるからさ。すごいよ、ほんと。」 委員長が笑顔で言う。 おいおい、なんかすげぇ嫌味に聞こえるんだけど!?!? なんだよ、おまえの方がすごいって言いたいんだろ?? 違うのかよ!! 「松下君もすごいよ!お医者さんになるんだもんねー。」 委員長を尊敬の眼差しで見る響。 その言葉に照れたような顔をする委員長。 、、、おいおい、、、。 なに、調子に乗らせてんだよ。 その笑顔の裏にある本性を突き止めてやりてぇな! 「俺の話なんかいーんだけどよー。響、就職先、北大じゃん!委員長と、これから職場で会ったりするんじゃねぇの?」 さりげなく2人の事を探ってみる。 「その話もしてたんだ。俺、毎日図書館行ってるから会うねって。」 「うん。松下君色々教えてくれて、助かるよ。」 へぇー、、、。 響は嬉しそうに、委員長に笑顔を向けている。 いい人オーラ全開の狼に騙されてるな、こりゃ。 さっきから聞いてりゃ、松下君、松下君って、そーいえば、響、こいつの事、委員長って呼んでなかったっけ? ふと、疑問に思っていると、委員長が、ボソッと呟いた。 「島田さんだけだよね。俺のこと名前で呼んでくれるの。高校の時からそうだったよね。」 「え?そうだっけ??」 響が、不思議そうに答える。 「うん、そうだよ。島田さんだけ、いつも名前で呼んでくれてたから、覚えてるんだ。」 委員長は、そう言って嬉しそうな顔をしている。 へぇーーー。 これは、俺の予感的中じゃねぇの?? 伊藤やばいぜ。 こいつ、絶対響に気があるだろ!! 松下は終始嬉しそうな顔をしている。 あー、こりゃ確実だな!! さーて、伊藤、波乱が起きそうだぜ?? どーする?? おいおい、なんだか楽しくなってきたぜ?? 2人の間で、1人この状況を楽しんでいる俺。 2人の会話に聞き耳を立てていると、委員長が、突拍子の無い事を言い出した。 「高校の時、島田さん、川合君と仲良いから、2人付き合ってると思ってたよ。」 はぁ!?!? 俺!?!? なんで、俺!?!? 委員長の言葉に、すかさず、響が否定する。 「だから、それは部活が一緒で、それで、仲良くしてただけだよ!ねー?浩介!松下君なんか誤解しててさぁ。」 「俺、悪いけど理想高いから。こんなの、相手にする訳ない。」 俺の返しに、響は不服そうな顔をして俺を睨んでいるが、それはいいとして、、、。 ふぅーん。 こいつ、俺と響が付き合ってると思ってた訳か。 もしかして、こいつ、、、、。 高校の時から響の事好きだったんじゃねえの??   「ごめん、ごめん!!俺、勘違いしてたんだね。2人仲良いからさ。」 そう謝る委員長の顔は、とてつもなく、嬉しそうだ。 へぇー、、、。 そーか。 そーゆー事な訳ね!! これ、完璧アウトなやつじゃね?? 伊藤ピンチじゃねぇの!?!? 面白くなってきたぞ、この展開!!! 松下は高校の時から、響に気がある訳だ! 押すのか!? どーすんだ?こいつ!!! 先の展開を予想しつつ、面白くなってきたところで、遠くから俺を睨みつける鋭い視線が突き刺さる。 伊藤が、俺に目で合図する。 ちっ!! わかったよ!!! せっかく面白くなってきたのによぉ、、、。 先生様が怒ってるぜ。 仕方ねぇな。 2人を引き離してやるとするか、、、。 俺って何て優しいんだ! 千草の姿を探すと、入り口付近で、友達に囲まれながら、何やら楽しそうにしているのが目に入る。 「おい、響、そーいや、千草呼んでたぞ。おまえと話したいって。」 あー、なんて、気を利かせ上手な俺! 伊藤、後で何かおごれよ!! 「え?そーなの?。松下君、ごめんね!ちいちゃんの所に行ってくるね!」 そう言って響は急いで席を立った。 いやぁ、委員長悪いね!! せっかくいい所だったのになぁ! 残念だなぁ!!! 横目で委員長を見ると、悔しそうな顔をしているのがわかる。 わかりやすいな、こいつ! ちょっと、カマかけてみっかな!! 面白くなって、委員長に声をかけた。 「いやー、悪いね!いい所だったんだろ??。邪魔しちまったな!」 こいつ、何て返す? まぁ、どーせ否定すんだろ。 こいつの性格からして、そんな思い切った事は言わねぇだろうしな。 そう軽く考えていた俺。 まさか、委員長が、俺の想像を上回る返しをするとは、思ってもいなかったんだ。 委員長が、ふっと笑って俺を見る。 「ああ。そうだね。川合君、邪魔しに来たんだよね?せっかくいい所だったのに。残念。」 そう言って、委員長は、薄気味悪い笑みを浮かべた。 「、、、!!!」 その言葉に絶句してしまう俺。 こいつ、、、。 やっぱ、裏があるな。 響、こいつに引っ掛かったら、やべぇよ。 「あー、、、いやぁ、俺はそんなつもりはなくてさぁ!!」 委員長との会話がぎくしゃくする。 なんか面倒くさそうな雰囲気になってきたぜ? 場の雰囲気を変えようとする俺に、委員長は気味の悪い笑みを浮かべながら、話を続ける。 「悪いね、川合君。言い方を変えるよ。邪魔しにきたんじゃなくて、俺をからかいに来たんだろ。でも、俺はもう高校生の時の俺じゃないから。高校の時は我慢してきたんだ。」 は??我慢?? 、、、こいつ、いきなり何言い出すんだ? 「悪いけど、今の俺はガリ勉で物静かな人間じゃないよ。俺は変わったんだ。欲しいものは何が何でも手に入れる。人生貪欲にならないとね。」 そう言う委員長の鋭い目線は、響を追っている。 、、、おいおい、こいつ、、、マジかよ、、、。 控えめな大人しい、あの委員長はどこに行っちゃった訳? ちょっと、いや、かなり怖いんですけど。 「何が何でもって、、、。すげぇな。」 確かに、隣に座っているのは、昔の委員長じゃねぇな。 外見も、中身も全くの別人じゃねえか。 なんだ?こいつ。 どうしちまった訳? 唖然として返す言葉が見つからない俺に、委員長は笑って答える。 「あはは。そんな驚かないでよ。良識の範囲内でだよ。一応、常識はあるからね。物事の判別はできるよ。」 「、、、あー、、、そう。」 委員長の言葉に恐怖心を抱きつつ、俺も言葉につまってしまった。 こいつ、高校卒業して、かなりイカれたな、、、。 反動でかすぎだろ! 微妙な空気感が漂う。 俺、やっぱ、こいつ苦手!! 深く関わる前に、退散したほーがいーな、こりゃ。 「あー、悪かったな。えーと、、、じゃあ、俺行くわ!」 そう言って早々に席を立った。 こいつ、やべぇな。 マジで響、落としにかかってるぜ。 しかも、普通じゃない。 なにが良識の範囲内だ? いやいや、腹黒すぎるんじゃねえの?? ただの大学デビューかと思ってたけど、それだけじゃなさそうだし。 深い闇がありそうな気がするんですけど?? 伊藤と波乱が起きればいいとは思ったが、これは、マジで、やばいやつじゃねぇか?? 席に戻ると、伊藤はタバコの煙を吐き出しながら「おお、お疲れさん。」と、ボソッと呟く。 ったく、、。 お疲れさんじゃねぇよ、、、。 響を見ると、千草と楽しそうに話している。 「あの2人離してやったぜ。ったく、俺に感謝しろよ!」 「、、、、。」 無言で、タバコの煙を吐き出す伊藤に、苛立ちを感じる。 おいおい、感謝の一言も無しか!? 「委員長、響の事好きだぜ。ありゃ、マジだねー。やばいぜー?」 少しは焦ろ!! やばい状況になってもしらねぇぜ? 俺の言葉に、動揺する素振りもなく、伊藤は淡々と「だろうな。」と言うだけだ。 おいおい、、、それだけかよ。 なんだよ、つまんねぇーの!  俺に偵察に行かせておいて、それかよ!! もっと、嫉妬心丸出しにするとか無いのかよ、この男は! 「あいつ、毎日図書館通ってるみたいだぜ?。就職したら、毎日顔合わせるんじゃねーの??まずいかもよ??」   「へぇー。いーんじゃねえの?好きにすれば。」   ふぅん、、、余裕じゃん。 そんな事言ってていーのかよ。 委員長の腹黒さを少しはわかったほうがいーんじゃねえの? 「俺の勘では、ちょっと、やべぇよ、あいつ。なんか闇ありげだぜ。響落とすのに、色んな手使うかもよ?」 「、、、、。」 俺の言葉に、伊藤は黙る。 ん?? 一瞬、伊藤の表情が曇った気がしたけど、、、。 気のせいか?? 伊藤は、ぼそっと呟く。 「ふーん。落とす、、、ねぇ。」 お!! ちょっとは、気にしてんのか?? 伊藤だって、この状況が面白くないはずだ。 嫉妬心の一つや二つ、伊藤にもあるだろ? 自分の彼女が、他の男に猛烈アプローチされてるんだぜ? そりゃ、気になるよなぁ?? 波乱か?? 面白くなんのか?? 俺を見て、伊藤はふっと笑っう。 「まぁ、あんだけ外見も中身も変わってんだから、闇の1つや2つあるだろうな。」 そう言って、余裕な笑みを浮かべている。 おいおい、、、分かってんのか?? 相手は何が何でも手に入れるって言ってんだぞ? そんな余裕ぶっこいてていーわけ?? まぁ、俺は、やばい気がするけどね!! あの委員長の裏の顔は、かなりやばいと見た。 マジで響を狙う気だぜ?? まぁ、ここまで忠告してやったんだ。 伊藤がいーなら、俺はしーらね。 関わったら、めんどくさそうだしな!! やーめた、やめた!! 「みんなー!もうお開きの時間だからー!二次会もあるんでー!行く人は二次会に流れてー!」 大声で呼びかけると、みんなぞろぞろと、席を立ち始めた。 「二次会行かねぇの?」 まぁ、行かねぇだろうけど、隣でタバコの煙をふかす男を一応誘ってみる。 「行かねぇよ。めんどくせぇ。」 「あっそう。」 だろうな。 委員長のあの勢いなら、響に連絡先聞くんじゃねぇの? まぁ、俺はしーらね!! マジで波乱起きても知らねぇからな!!
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