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あれは、忘れ物を取りに行った放課後。
その日、私は出会ってしまったんだ。
君は、私の窓際の席に座り、青い綺麗な空を眩しそうに眺めていたんだ。
キラキラ光る太陽に目を細めた横顔がやけに色っぽく、綺麗で、君のいる風景が、まるで展覧会の作品のようで目が離せなかったんだ。
君は私に気付いて、だるそうな声で「ごめんね〜、ここ浅井さんの席だよね」と席を空けてくれたんだ。
私は何も言えず、忘れ物を回収し、そそくさと家路を急いだ。
なんだかとても心がざわついて、でもそれが、私にはどんな気持ちなのかわからなかったんだ。
私なんかの名前を知っていたことに、空気の私にあんなに自然に話かける人がいたことに…とても戸惑ってしまったんだ。
あれから君が、気になって仕方がなくなって、いつの間にか君を探してしまうんだ。
休み時間の読書以外の過ごし方を、始めて私は知ったんだ。
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