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もっと、優しい声で言えばいいのに
そう思って、それは自分のことでもあるとすぐに気づいて、私は反省した。
もう、私はこの状態をすべて理解していた。
これは夢ではない。
現実。
でも、現実であって、現実ではない、期間限定のもの。
さっきおにぎりを食べていて目に入った、手の甲で光っていた文字に視線を落とした。
そこに書かれているのは、12という数字。
それを見て、私はこの状態でいられる期間を知った。
普段の私の生活のサイクル通りに過ごすのならば、12時間後は我が子と一緒に寝る時間だ。
つまり、そういうことだろう
起きて、次に夜寝るまで
それが、私が子どもでいられる時間だ。
超常現象か、あの占い師のおばあちゃんの力なのか、はたまたどこかの神様のいたずらか。
それに関してははっきりとわからないけど、間違いなく、あの球を持って願ったからこの姿になったのはわかった。
確かに、この願いは私にとっては全くくだらないものではない、大切な願いだ。
口と手をピカピカにしてもらった私は椅子から降りると、居間のソファの方に走った。
そこに座ってぼんやりとテレビを見ている人物に声をかけるために
「おはよ、にーちゃん」
わたしの、息子だ。
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