第10章:逃げるが勝ち

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 電話を終えた井上警視は、動揺を抑えながら内容を伝える。 「…ガサ入れしようとしていた奴らのアジトが、放火されたらしい…。また、早乙女海人は飛んだっぽい。」 「放火…?情報が漏れて、証拠隠滅でしょうか?」 「おそらく…。今、組織犯罪課が現場に向かっている。」 「アジトって…幹部のオフィスですか?」 「ああ。海外からの不法労働者が、隠れて生活していた場所でもある。」  証拠隠滅のために、巻き添えになって事故死?あまりにもひどい…。  黙っている俺を見て、井上警視は声をかける。 「まだ死亡者がいるかは、わかっていない。あらかじめ人を逃がして、火をつけたのかもしれない。」 「…だといいのですが。」 「早乙女海人は、多分…海外逃亡だと思う。逮捕状が出る前だから、行き先によっては追求は難しいかもしれない。」 「…あと一歩…っていうところだったに…!」  逃げるが勝ちか…。  早乙女海人は、光に全ての罪を押し付けたんだ!
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