第11章:君には大きな翼があるから

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 帰りたいけど、光の取り調べがある…。  柏木ちゃんとそのまま作戦会議をする。  早乙女海人の情報が解禁されたお陰で、よりチームと連携が図れる。 「光ちゃんは、早乙女海人を覚えているのかしら?」 「多分…。剣からの手紙に『うみ』という人物が登場する。『うみ』は早乙女海人だと思う。」 「剣くんと光ちゃんの共通の知り合いなのね。昔は、いい人だったのかしら。」 「どうだろう。剣くんと光は一卵性双生児だ。男女の一卵性双生児は珍しいらしい。おそらく…剣くんも光と同じ脳の構造だったんじゃないかな?」  剣くんが書いた実験日記を思い出す。病院で隠れて解剖をしていたようなので光と同じで血が怖くないのだろう。 「早乙女海人は、光ちゃんの性格を覚えていて、今回の事件に利用したのかしら?守屋杏奈にとどめを刺すとか、凛ちゃんについても…。あ、でも自分の妹さんを殺すのを望むのはおかしいかな…?」  柏木ちゃんは、色々思考を巡らせる。 「凛ちゃんが死ぬのは、想定外だったのかも…。チョコレートの埋葬は早乙女海人がやった…妹の供養のために…。」 「チョコレートは、ちょうど人肌で溶ける。死体の腐敗を遅らせれる。なおかつその場に大量にあった…。今更だけど、光ちゃんなんであんなに大量にチョコレートを買ったのかしら?」 「…凛ちゃんに頼まれたのかもしれない。凛ちゃんと早乙女海人が、どこまで情報を共有していたのか気になる…。凛ちゃんは、ゼウスが誰か知っていたのだろうか。」 「兄が全てをコントロールしているのを知って、死にたくなったのかな。しかも売春の元締めだったなんて…。」 「大石光は凛ちゃんは、杏奈ちゃんを嫌いだった…と言っていた。もしかしたら、凛ちゃんは杏奈ちゃんに脅されていた…。」 「そうかも…。学校でバラすとか…。」 「学校の裏サイトに情報があるかもね。」  通常はボードを使い効率的に話すのだが、頭を柔らかくするため、柏木ちゃんとフランクに意見を交換する。  光にもっと心を開いてもらおう。光はあんな状況でも生きるのを選んだのだ。聞き出せてない情報があるはずだ。
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