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「光ちゃん、今日は体調はどう?」
本日のメインを担当する柏木ちゃんの最初の質問だ。
「私って病気なんですか?」光は不安な顔をする。
「ううん。最近寒いし、体調壊してないかなって。お腹痛かったりしない?」
柏木ちゃんは慌てて取り繕う。
「お腹は…言われてみれば、ちょっと違和感が…。拘置所で食べるものが変わったので、そのせいかもしれません。」
「そう…。今日はクリスマスだからケーキが出るって聞いたわ。そんな立派なものじゃないけど。あ、甘い物は苦手だったわね。」
柏木ちゃんの刑事とは思えない優しさに、光は少しずつリラックスしていく。
「今日は、クリスマスだから…夜は2人でデートするんですか?」光は俺たちの顔を交互に見て聞く。
「どうだろう。柏木さんは人気者だから、俺は相手にされないよ。」先手を打って先に答える。
「そうだね。イワサキには勿体ないね。」光は無邪気に笑う。
この野郎…。と思うが、光は徐々に心を開いているようだ。
「イワサキには私がいるよ。今はここを出れないけど。」ボソッと光は呟く。
「光ちゃんは、岩崎警部がお気に入りなのね。」柏木ちゃんは、優しく切り返す。大人の女になったな〜。
「別に…。でもイワサキは、信用できるから。」
おい。信用できるなら「さん」とかつけてくれよ…と思うが…言わない。
学校でも成績優秀、品行方正、何も悪いところはなかった。
…人を選んで接していたのだろう。
双子の剣が死んでから、他人と距離を取っていた…。しかし、信頼できる凛ちゃんが現れた。
廃墟病院での出来事をもう少し掘り下げよう。オリュンポス十二神のサインをして、そこから…なぜ守屋杏奈が最初の標的になったのか。
アイコンタクトに気づき、柏木ちゃんは、ファイルから被害者4人の資料を取り出し、聞き込みをスタートする。
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