第11章:君には大きな翼があるから

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「光ちゃん、今日は体調はどう?」  本日のメインを担当する柏木ちゃんの最初の質問だ。 「私って病気なんですか?」光は不安な顔をする。 「ううん。最近寒いし、体調壊してないかなって。お腹痛かったりしない?」  柏木ちゃんは慌てて取り繕う。 「お腹は…言われてみれば、ちょっと違和感が…。拘置所で食べるものが変わったので、そのせいかもしれません。」 「そう…。今日はクリスマスだからケーキが出るって聞いたわ。そんな立派なものじゃないけど。あ、甘い物は苦手だったわね。」  柏木ちゃんの刑事とは思えない優しさに、光は少しずつリラックスしていく。 「今日は、クリスマスだから…夜は2人でデートするんですか?」光は俺たちの顔を交互に見て聞く。 「どうだろう。柏木さんは人気者だから、俺は相手にされないよ。」先手を打って先に答える。 「そうだね。イワサキには勿体ないね。」光は無邪気に笑う。  この野郎…。と思うが、光は徐々に心を開いているようだ。 「イワサキには私がいるよ。今はここを出れないけど。」ボソッと光は呟く。 「光ちゃんは、岩崎警部がお気に入りなのね。」柏木ちゃんは、優しく切り返す。大人の女になったな〜。 「別に…。でもイワサキは、信用できるから。」  おい。信用できるなら「さん」とかつけてくれよ…と思うが…言わない。  学校でも成績優秀、品行方正、何も悪いところはなかった。    …人を選んで接していたのだろう。    双子の剣が死んでから、他人と距離を取っていた…。しかし、信頼できる凛ちゃんが現れた。  廃墟病院での出来事をもう少し掘り下げよう。オリュンポス十二神のサインをして、そこから…なぜ守屋杏奈が最初の標的になったのか。  アイコンタクトに気づき、柏木ちゃんは、ファイルから被害者4人の資料を取り出し、聞き込みをスタートする。
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