第3章:死人に口無し

2/12
415人が本棚に入れています
本棚に追加
/286ページ
 勾留期間は原則として10日間である。  その間に検察官は自らの調査と警察の捜査結果をもとに起訴・不起訴を決める。起訴する場合は裁判所に訴える罪名を明確にしなくてはいけない。  井上警視が言ったように「死体遺棄の罪」は今ある証拠だけで起訴するには十分であろう。  原則10日間の勾留期間だが、起訴内容が決まらない場合やまだ余罪がありそうな場合、さらに10日間勾留期間延長を検察官は請求できる。  殺人に関与している可能性が高いので延長ありきで慎重に調べろよ。と井上警視は言いたかったのだろう。  今日は大石光の勾留されてから2日目だ。  井上警視に「7日目には検察官に捜査結果を報告できる」と宣言したので早急に死体遺棄の現場に行かなくては。  まずは、徳永警部補に現場捜査を依頼する日取りを決めなくてはいけない。    現場捜査にとって最重要事項である天気予報を調べる。  幸い今週は雨が少ないな。よし3日後の金曜日は快晴だ。早速、徳永警部補を呼ぶ。 「徳永さん、廃墟病院訪問ですが、今週21日の金曜日でお願いできますか?」 「了解しました。誰を連れて行きますか?」 「チーム全員で行きましょう。手分けして短時間で終わらせましょう。また現場を知っている厚木警察署の応援も2〜3人お願いします。」 「大掛かりですね。でも良いと思います。病院は広いですし。老朽化が進んでいるので怪我など2次災害が出ないようにしないと。」 「そうですね。建物内に入るメンバーは絞りましょう。外で数名待機させたいな。そうするとチームだけじゃ心細い。」  周りを見渡し岡警部が近くにいないか確認する。  岡警部は5期上の先輩で面倒見がいい。ちょうど都内の通り魔殺人が片付いたばかりだから若手の応援をもらえるかも。  普通に頼んだら99%断られるが、岡テリは柏木ちゃんファンが多い。  岡警部がちょうど席に戻ったので、彼に駆け寄りお願いする。 「岩崎ちゃんの頼みじゃ断れないな。部下に行かせんのは悪いから俺が行くよ。」  岡警部は快諾してくれた。  そうか。岡テリが柏木ちゃんファンが多いのは上司命令だからだ!
/286ページ

最初のコメントを投稿しよう!