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 和馬は電車に揺られながら、この胸騒ぎの理由を考えていた。  変わりゆく景色と共に、その胸騒ぎは薄れていき、自宅近くの最寄り駅に着いた頃にはもう何も残っていなかった。  和馬は夏の空に手を伸ばす。  果たされてしまった悲惨な宿命の行き先なんて、もう和馬にとって関係のないことだった。  未練は未練を呼び、あの村へと誘う。  その連鎖は止まらない。
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