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しかし、幾ら戻って行っても霧が晴れて来ないので、こりゃあどういうことだと吉蔵は不審に思いながら進んでゆく内に道に迷ってしまった。
糅てて加えて日が暮れて夜霧となってしまったので吉蔵はにっちもさっちも行かなくなって途方に暮れていると、「おい!」と闇の中から甲走った声で呼ぶ者がいる。
吉蔵は何処だ何処だと右往左往していると、突然、叢からぼんやりとした光と人影が現れて弓張提灯で照らし出された少年の顔が目の前に急接近したものだから肝を潰して、ぎゃ!と思わず叫んだ。
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