夜想曲

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夜想曲

夜になれば既に肌寒い季節。授業が終われば塾へ行き、そして帰宅。最近はそれが当たり前のような生活になりつつあった。 今日も学校からの帰りに塾へ寄り頭に目一杯社会へ出れば必要なくなる知識を詰め込み帰路を急ぐ。 深夜に高校の制服を着ているせいか、酔った中年に何度か声を掛けられ逃げるように足早にその場を離れれば後ろからは下品な笑い声や、罵るような罵倒の声。 自分達が何様のつもりなのかは知らないが、ああいう大人にはなりたくない。 親に言われるまま、良い大学に入って良い就職先へ…適齢期には結婚して子供を産んで。そんな生活に興味もないけど他にやる事もないので、敷かれたレールを走り続けている。 そんな自分が嫌で何かを求めるけど、その何かが分からない。母子家庭で必死に育ててくれた母には感謝している。安心させてあげたい気持ちはあるものの、それでも退屈な日々に不満を感じてしまう。 色々な思考を頭の中で繰り広げながら、早足で歩けば曲がり角を一つ間違え見覚えのない路地裏が視界に広がる。 .
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