第二のチャンス

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第二のチャンス

 秋が来て、僕らは修学旅行に行った。  コースのなかに、ワインセラー見学が組み込まれていた。  秋とはいえ、長野は一足早い冬のなか、というような寒さで、ワインを寝かせている洞窟のなかは一層冷えて感じられた。  僕はハッとした。これは、ザ・チャンスだ! 「美摘!」  自分の班を離れて、女子の班のなかにいる彼女のもとへ向かう。ところが、 「そこ! 勝手に班から離れない!」  すかさず引率の教師に邪魔された。  ちっくしょー、この冷気の中でならと思ったのに!  人と抱きあったことがまだなかった僕は、冷気の中なんかで抱きあったら、体温が余計に際立つことなど知らなかった。  心の中で、引率の教師にお門違いの怒りをぶつけながら、僕は引き下がった。
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