奪われたもの

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 俺の名前は町田守、21歳の大学生だ。  友達の北田照久と一緒に地方の繁華街に遊びに来ていた。  そこは観光地で戦国時代に建てられたお城がある。  戦国マニアの照久につきあわされて、俺は城を見に来たんだ。  照久のやつは「ここは伊達家の城の一つなんだぜ」と色々な雑学を披露しながらスマホで写真を取っていた。たぶんあいつは物を知らない俺に自慢をしたかったんだろう。  照久とは高校時代からの付き合いで、昔から人にウンチクを語るのが好きなやつだった。  しかし、その照久は……  俺は繁華街の道路の赤いシミに目を奪われる。  15分前、ゾンビになった照久が通行人に襲われて殺された場所だ。  そこは照久の赤い血でまだ濡れている。  俺は路肩にしゃがみ込んだ。  どうしてこうなったんだろう。  さっきまで、あんなに元気だった照久がゾンビになったなんてとても信じられない。  そして殺されたこともだ。  今から45分前には俺たちは喫茶店で楽しく話をしていたはずなのに……  
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