1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

最近真陽と圭介は倦怠期のように、些細なことで言い争う事が増えていた。 真陽もパートで自分の小遣いくらいは稼いでいる。 中年も過ぎて、初老組と笑いながら働くパート先は楽しかった。 でも一家の大黒柱はあくまでも圭介なのであって、真陽では、ない。 夫婦で財布は別々にしているのも、真陽だって仕事しているのは自分の欲しいものくらい気兼ねなく買いたいからなのだ。 それに、まだ次女の陽菜(ひな)は高校生になったばかり。当然、真陽の給料をあてにして欲しいものをねだってくる。 それを全て買い与えてしまうのは些かどうなのだろう?と、この頃ふと考える。 「陽菜もバイトすればもっと好きなだけ欲しいもの買えるよ」 そうは言ってもうちは国道に面している割には交通の便がとても悪い。 更に追い討ちをかけるように陽菜は対人恐怖症であって、まともに他人と会話が成立しない。 そんな女子高生が働けそうな場所と言ったら、ファミレスの皿洗いくらいのものだろう。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!