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そのとき、先頭の一号が、
「あーあ。あたしのための場所って、どこにあるのかなあ。ちゃんとたどり着けるといいけど……」
誰にともなくぼんやりつぶやくと、ふああ、と大きなあくびをしました。
「……」
その言葉に、思わず静まり返る付箋たち。
それは、付箋たち共通の思い、いえ、願いでした。
こんな窮屈な世界に生まれてきた、姿かたちもそっくりな自分たちだけど。
この世のどこかに、他の誰でもないこの自分を必要としてくれる場所が、必ずあるはず。
(……私だって。いつかきっと、遠いどこかへはばたいて、私だけの使命を果たしてみせる……)
一号から数えて三枚目、夢見がちな三号も、そっと胸の中でつぶやきました。
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