さくらメモリー~君に伝えたかったこと~

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「ありがとうございます。快適TVショッピング、佐藤でございます。」  通販の注文受付バイトは、別人になれるので、珍しく長続きしている。    俺は、自分で設定した、“誰からも好かれる爽やかお兄さん” の声で、電話を受ける。 「ラッキーとみたさんプロデュースの、小型マッサージ機がほしいのですが・・・。」  20代女性の、高い声が返ってきて、俺は驚く。  なぜなら、電話をかけてくる大多数が、ネットからの注文に不慣れな、高齢者だったからだ。 「19,800円の、マッサージ機でございますね。1台でよろしいですか。」 「はい、大丈夫です。」 「かしこまりました。それでは、ご注文者様のお名前をお伺いします。」 「オガワ サクラです。」  おがわ さくら!?  俺は、またドキリとする。  なぜなら、高校生の時に片想いしていた女の子と、同姓同名だったからだ。
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