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いつの間にか駅前の待ち合わせらしき人の数が増えた。 待ち合わせで待ち人が来た人たちが 微笑みを交わしあう。 もうすぐ、もうすぐ彼女はここに 来るだろう。 僕達は一度別れた。 2年前の冬。 別れたとは言わないかもしれない。 彼女には彼がいた。 お互いに惹かれあっていたのに 僕たちは続かなかった。 彼女はいつも言った。 「もっと早く出会えていたらよかったのに・・・・」 彼女は僕の前ではいつも笑っていた。 笑顔はいつもどこかぎこちなかった。 無理して笑っているようだった。 僕と彼との間で悩んでいたようだった。 そんな彼女を泣かせてあげられないこと たったそれだけのことで 僕達は別れてしまった。 本当は泣きたい時に泣けないで 苦し紛れの笑顔を見ているのが 辛かっただけなのかもしれない。 彼女は彼の前では泣くことができて 僕の前では笑ってばかりいた。 でも、彼女が泣けない強がりを 僕は自分の頼りないことが 彼女を泣かせてあげられないのだと とてもひどく自分を責めて 自分がそばにいないほうがいいと 心にもないことを言ってしまった。 「彼の所に帰ったほうがいいよ もう会うのはやめよう」 「でも、私はあなたのことが 好きになり始めているのに。」 彼女の目には涙があふれていた。 僕は二度と彼女を振り返らなかった。 そして彼女は彼の元へ戻った。 彼女は悩んでいたのかもしれないと何度も後悔した。 でも、僕は無理やり彼女をあきらめようとした。 その方が彼女が楽になれるだろうと思った。 そして噂に聞いた。 彼女が彼と別れたらしいこと。 いくら時が過ぎても僕が彼女を忘れることはなかった。 そして1ヵ月後。 街で突然肩を叩かれた。 誰かと振り向くと彼女が笑って立っていた。 「久しぶり!元気だった?」 その笑顔はとても輝いていた。 後から聞いたら僕を偶然見かけて とてもうれしかったと笑って言った。 偶然に会えたことで僕たちはそのまま食事をして今までのことを話した。 彼と別れたことも今、彼女が誰とも付き合っていないことも。 それからまた連絡を取り合うようになって 2ヶ月ほどになる。 そして今日また会えることになったんだ。 不思議なぐらい僕たちは自然に こうしてまた巡り会えた。 僕はうれしくてたまらなくて 何度も時計を眺めていた。 何度も同じ曲を繰り返しながら 彼女のことを待っていた。 彼女の大好きな曲を聴きながら。
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