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待っている間に
この前会った時のことを思い出していた。
彼女に負担がかからないように
冗談になるように聞いた。
「お互いに今フリーなら、
クリスマス空いてる?」
ちょっとの本気と
断られてもめげないようにと思いながら。
「え・・・・。」
一瞬の沈黙に急にまずいこと言ったかなって
僕はどきどきした。
「うそうそ。冗談だよ。忙しいよね。」
「え・・?冗談だったの?なあんだ・・・・。」
え?誘ってもよかったの?
僕は少し期待した。
「いや・・・空いてたら一緒に
過ごしたいなと思って・・。」
僕は何を口走ってるんだろうと
急に恥ずかしくなった。
でも、彼女はまっすぐに僕の目を見て
答えた。
「・・・・うれしいな。」
そう言って彼女は笑ってくれた。
僕達の間の会わなかった分の時間が
すこしずつ埋まっていくように思えた。
笑った彼女をみて思った。
僕は、別れて会わなくなった2年前から
君のことが忘れられなかったんだ。
別れたことも離れたことも
すごく後悔した。
君の手を離したことを
とても後悔したんだ。
もう一度君と寄り添えることができるなら、
今度は絶対に手を離さないで
君の涙さえも
受け止められるようになりたいと思った。
時計はもうすぐ待ち合わせの15分前。
僕はうれしそうなカップルや
他の待ち合わせの人たちを見ながら
時計台の真下のクリスマスツリーを
眺めていた。
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