来訪

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来訪

薄い空を撫でるような雲だけが目に優しく映る、小春日和のある日、 ガイドに連れられ外国人講師が待ち合わせ場所の公民館にやってきた。 公民館には母親のツエ子と、長女の恭子が外国人講師を迎えにきていた。 公民館の玄関の前でなにやら歓談していた二人は、そこにやってきた外国人講師を見かけた二人は、二人で顔を見合わせてから、恭子は笑顔で目を細めつつ 「こんには、ブルースさんですか? 受け入れ家庭でお願いしてました、染谷です。」 と、はっきりした遠めにもわかる大きな声で、外国人講師に声をかけてきた。 外国人講師とガイドは 恭子に勝る満面の笑顔でその通りだよろしくと答えた。 「うちは、8人家族だけど みんな 『This is a pen』くらいしか分からないよね? それから弟は外国の人に出会ったら、とりあえず『I can not English』だけ覚えとけばいいって言ったから、 『あんた、アメリカの人が来るのにそんなんでいいわけないでしょ』って言って・・ お母さんと今、外国の方初めてだから、食べる物とか お風呂どうするんだろう、もし、シャワー浴びたい言われたら、うちはシャワーがないから、 公民館の宿泊風呂のシャワーくらいかなぁー なんて話していたんですよ。」 と、恭子はさらに目を細めるくらいの満面の笑みで、外国人講師のブルースにいっぱいの言葉をならべた。 ブルースは、ただ微笑んでいる。 ツエ子は、恭子より半歩、斜後ろの位置で申し訳なさそうに静かにほほえんでいた。
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