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序
とある村。
明らかに、街ではない。
里といってもいい。
周りを、小高い山に囲まれ、隣りの集落へ行くには山を二つほど越えなければ行くことができない。
この、村には、三千人ほどが暮らしている。
その、ほとんどが、農耕や狩猟や採取などによって自給自足の生活を送っている。
だが、おだやかな村ではない。
畑や田んぼのあぜ道を 子どもが楽しそうに駆けぬけていくと、
その、畑や田んぼで作業をしている人の 3人に2人が子どもを睨みつける。
5件に4件のうちでは 夕飯の時に 村の近所の知り合いの陰口をいう習慣がある。
村には あまり、娯楽も楽しみもなく 人々の満たされない欲望が肥大化している。
その、欲望のはけ口は、どうしても、嫉妬や妬みからくる、睨みや陰口といった身近な物へ間接的な
攻撃という形で現れる。
それが、代々この村に続いている 気質というべきものである。
こんな村に、外国から語学の教師がやってきた。
その人は、村の学校での臨時講師として招かれた。
村では、この講師がこの村で働く期間に、滞在の面倒を見てもらえるような家庭の募集をかけた。
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