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「全く……酔っぱらいは迷惑かけずに黙って寝てなさい」
かぐやは手を二三度打ち鳴らし、その場から背を向けた。
「お、お待ちくださいましっ」
「何か?」
着流しの裾をつままれ、かぐやは立ち止まる。
「あ、あの……助けていただき、ありがとう存じます。お礼に何かーー」
「お構いなく。それより早く帰った方が良いですよ」
「顔が赤い」
彼女の頬に手を添え、そう一言。
「あ、え、えっと……こ、これはっ!」
くしゃくしゃと彼女の髪を撫で、今度こそ家路を急いだ。
「お名前はーーっ?」
「かぐや」
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