思い出の町

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思い出の町

(本当だ…あの頃のまんま…) 頭の中によみがえる遥か彼方の記憶が、私の胸を熱くした。 (えっと…確か、前に住んでた家は……) 以前、住んでいた家の場所くらいは覚えてる… だけど、しばらく歩くうちに、記憶の風景とは少し違っていることに気が付いた。 目標としていた通いなれたお店や工場がなくなり、なじみのない風景に変わっていたのだ。 (あ……あの公園…! じゃあ、やっぱりこっちで合ってるわ!) 子供の頃によく遊んだ公園が今でもあった。 でも、以前とはどこか違った感じがするのは、私が大きくなったせいなのだろうか? (……あ……) 公園を手掛かりに、ようやく昔の記憶がはっきりしてきたというのに、その場所は以前とはもうすっかり様変わりしていた。 目の先には、とても背の高いモダンなマンション… 見上げた最上階は明るい太陽の光で良く見えなかった。 あの当時、私が住んでたのは二階建てのアパートだった。 私達が住んでたのは二階の角部屋。 小さなベランダの洗濯物の隙間から、外を見るのが好きだった。 あの古いアパートが、今はこんな大きなマンションに変わっているなんて…見えてる景色も今とは全然違ってたはず。 時の流れを痛感した。
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