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第ゼロ話 接続《リンク》
薄暗く、機械的で、ただただ無機質な空間に一人、少女は居た。
「脳波に異常なし、全身のスキャン完了」
少女の四方を埋め尽くす無数のサーバーから漏れる蛍光色の光、分厚いガラス越しに少女を見守る白衣の者達。
パソコンのキーボードをタイピングする音が、まるで時計の針のようにカチカチと響く。
「ダイバーズシティーに接続します」
「接続完了」
「転送準備」
白衣の者達の一人がそう言うと、無数のサーバーや、それに接続されていると思われる巨大な二本の電極棒のようなものからプラズマのような光が放出される。
「転送を開始します」
「うっ…………」
少女は転送が開始されると同時にめまいの様なものを感じ、思わず片手で頭を押さえる。
しかし、そのめまいも束の間、少女の意識は遠のいていく。
それは単に気絶しかけているわけではなく、体ごと幽体離脱しているような不思議な浮遊感なのだ。
意識が切れかける刹那、少女の脳裏にはたった数文字の短い文章が見えた。
「ようこそ! Diverscity渋谷へ─────!」
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