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「実は、今。シュバルツのお陰で、被害が最小限に抑えられているんだけど……。その効果が継続出来るのは、クリスマス・イブまでのようなんだ」
『は?』
「クリスマス・イブって……」
「もう10日ぐらいしかなくない?」
本日、12月14日__。
聞き返すように声を上げたリョーイチとキョウに続いて、顔色を悪くしたジークとコヅキが驚いた様子で言った。
でも焦って本命を倒しに向かっても、悪い予感しかしなかった雄は説得にあたる。
「だけど、すでに俺達の仲間から犠牲者が出てるようなんだ。闇雲に戦っても勝ち目はないだろうし、パーカー男の犯行によって化物が異常発生しているんだとしたら、嫌でも本命と顔を会わせることになると思う」
「つまりパーカー男を利用して、本命を顔を拝んでから、対策を練ろうってことか」
「うん。サンシャインで目撃したと言うことは、そう遠くには行ってないと思うんだ」
「でも犯行に及ぶかなぁ?」
リョーイチの解釈に頷いてみせた雄の話を聞いて、犯人の目的を知らないコヅキは首を傾げて質問。すると雄の代わりに、今度はムグルが発言する。
「そこは心配ないと思うよ。犯行時間は午前中。独り身を殺害してから物色し、軍の見回りが開始する時間帯に窓を開けて逃走。すると、あ~ら不思議。化物か出現して、加害者が被害者に変わっちゃうんだよね」
「__もしかして、現場に居合わせた事があるんですか?」
「2回程ね。だけど化物が証拠を食べちゃってるから、通報しても説明のしようがないし、疑われても可笑しくない余所者だから。通報するだけして、それ以上関わるつもりはなかったんだけどね」
勘の良いジークの質問に答えたムグルは、困った様子で雄を一瞥すると、申し訳ないとばかりに笑って誤魔化そうとした雄が言い訳を述べる。
「だって治安が悪いだけで、無法地帯と言う訳じゃなさそうだったから……」
「そうだね。雄を見て逃げ出したところからして、悪い事をしてる自覚はあるようだし」
「だけど味をしめてるようだったから、絶対再犯すると思うよ」
「それはボクも思うな。普段午前中に軍が見回りに行かない地域。もしくは、要請がない限り見回りしない地域なんか狙い目だと思うよ」
そんな雄とムグルのやりとりを黙って聞いていたジークは、地図を見直して「それなら」と大雑把に指で思い当たる場所に円を描いて言う。
「ここら辺がちょうど良いかもしれません」
「こっから近いな」
「車で直ぐ駆け付けられる範囲で、シュバルツさんの行動範囲の事もあってか。比較的に治安が良い方なんですよ」
「比較的にねぇ~」
キョウの発言からジークが説明を付け加えるが、現在の東京で言う比較的にと言うヤツは当てにならない事が多いため、リョーイチは疑問の声をあげた。
一方土地勘のない雄は、ジークが示した範囲を見つめて質問する。
「でもそこら辺、一軒家があるの?」
「大通りから外れると団地がある」
「一軒家がいいの?」
雄の疑問にキョウが答えるが、拘りは別にあるのではと思ったコヅキが質問で返すと、雄は頷いてその理由を話す。
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