22話/隠された代償

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■□■□■□  その日の晩__。ヒビキの携帯電話に、ジークから三度目の報告がLINEで来た。  生真面目で豆な性格なのは有り難いが、小出し報告は勘弁してくれと思い。仕事を理由にLINEにするよう、ヒビキの方から提案したのだが__。 【シュバルツさんの生存が、     先程確認出来たそうです】  経緯のない結果だけの報告に驚いたヒビキは、急いでジークに電話を入れた。 {もしもし?} 「経緯は?!」 {え?} 「何処にいやがったアイツ💢💢💢」  ヒビキが自前のスマートフォンを握り潰すような勢いで尋ねると、ジークは報告の文面を確認。直ぐに発見したと誤解された事に気付いたが、相手が少し落ち着くのを待ってから声量を落として謝罪する。 {あ、あの……。すみません。自分も、ムグルさんにそう言われただけで……} 「言及しなかったのか?」 {しました。しましたけど……。ムグルさんも、雄さんがマジ寝する前に送ったLINEで知った事だったので} 「マジ寝……」  その話を聞いて、ヒビキは睡魔に負けた雄をイメージして頭を抱えた。  直接報告するよう頼めば、仕事の有無関わらず連絡か入って気が散ると思い、都合やタイミングを知るジークに任せたのだが……。  それが完全に裏目に出た形となった。  リョーイチやキョウが相手なら、無理矢理にでも起こせと言うところである。 {寝惚けての発言の可能性があるので、確認は朝まで待つよう言われました} 「だろうな。何時頃発つ予定でいるんだ?」 {日の出と共に……。と、かっこよくと言いたいところですが……。朝の弱い雄さんの事ですから、朝日と共に起こしに行く羽目になりるだろうと、ムグルさんが言ってました} 「マジか……」  約束は守ってくれそうだが、予定は未定といったところか。気分屋なところはコヅキに似ているが、一筋縄ではいかないような雰囲気はキョウに似ていると思いながら、ヒビキは落ち着いて無難な判断を下す。 「ほんじゃ雄ちゃんが起きたらアポとって、お前の携帯から連絡してくれる? ジーク」 {分かりました} 「明日の夜明け、6時半ぐらいか……」 {早起きしてくれるのを祈るしかありませんね。キョウが、リョーイチと良い勝負だって言ってましたよ} 「楽しみがないと起きないタイプか」  もっとも急いたところで、簡単に動ける身ではないのだが__。 「とりあえず機嫌を損なわないようにな」 {はい} 「それと報告は電話に……。いや、明日雄ちゃんと話し合ってから決めるわ」  恐らくジークが小出しのように報告するのは、雄が小出しで情報提供するからだろう。  それならば、ジークとは別に直接報告してくれないか。交渉してしまった方が話が早いと考えたヒビキは、判断を先送りにした。  しかし、それこそが雄の狙いであり。  これからの協力体勢に必要な事だった。
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