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24話/追い詰められた末路
ーーー時は、12月15日/午前10時過ぎ。
天候は晴れ。肌寒い季節には有難い日差しだが、風は冷たく。化物の出現を警戒して、人影は一切ないものの。
マリナに一報した後、シュバルツが残した手帳を頼りに隠し通路を利用した一行は、近隣な千川駅から犯人出現ポイントまで移動。
更にムグルと二手に別れた雄は、リョーイチとキョウを連れて一番の当たりを巡回していた。ーーと言うのも、化物の気配があちらこちらからする割りには、表に出てこないのである。
故に常人であるリョーイチとキョウは、今巡回してる道が危険であること知らないし、どれだけの化物が潜んでいるかも分からないため。フォルスターから武器を抜かないまま、普段と変わらぬ様子で住宅街の道を歩いていた。
「まぁ初日から当たりがくるわけねぇか」
「世の中そんなもんだしな」
けど、その発言がフラグ🚩になりそうだと思った雄は、敢えて何も言わなかった。
リョーイチの発言はもっともだし、キョウが何を言いたいのかも分かる。一体何を根拠に雄が強気でいられるのかも、今はまだ分からない事だろう。魔法なんて夢物語だと思われる世界だからこそ、バレないよう雄自身慎重に扱っているのだから……。
「昼飯抜きになりそうだけどいい?」
「構わねぇぜ」
「雄は勘で歩いてるのか?」
「うん」
それにしては一定の範囲でUターンを繰り返してる事に、リョーイチとキョウは気付いていた。おまけに二手に別れる前、ムグルから意味深な言葉を贈られてたりする。
ーーフレム君はボクより
当たりくじを引きやすいタイプだから
十分気を付けてね。絶対だよ!ーー
今のところ何の問題もないが、かなり念を押されたので不思議には思う。
ーーと、先頭を歩いてた雄が十字路手前で足を止め。周囲を警戒した後、左側に寄って身を潜めた。
「どうした?」
「なんかいる」
恐らく活動中の化物なんだろうが、普通視覚に現れたら分かる存在のため。雄は、敢えて正体を明かさずに言った。
すると、雄を見習って左側に寄ったリョーイチとキョウは、左折した先を様子見。三人共身長や体格がバラバラなので、難なく覗き見に成功すると、道を歩く一人の男性の足下を確認して正体に気付く。
「影がねぇな」
「進化物か」
「ナイト?」
リョーイチの指摘にキョウが答えを出すと、オウム返しに雄が尋ねて来たので。一旦身を引いたキョウが、振り返り様に答えを待つ雄に説明する。
「化物の進化系で、最初に食らった獲物の姿に擬態する厄介な奴だ。同じ人間だと思って近付いてきたり、食らった獲物の知人を主なターゲットにしている。見分け方としては、影の有無の他に喋る事をしないのが特徴的だな」
「頷きもしないらしいぜ」
「じゃあ知識がある訳じゃないのか」
それでも戦場に紛れ込まれたら、厄介な事この上ない存在だが__。まだ三人の存在に気付いてない進化物は、庭木の伸びた枝でチュンチュンと鳴いていた野鳥をカメレオンのように食した。
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