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「何故やり返さない?」
「力量を測ってるんだよ」
「そんな場合じゃないのにぃ?!」
武器を片手に間合いを取る雄の行動に疑問視するキョウに、ムグルがフレムの悪い癖を教えると、ハラハラとした心境でつっこみを入れるコヅキ。一方相手の攻撃に合わせて、銃器で相手の攻撃を流す雄の行動からジークがある違和感の正体に気付く。
「もしかして雄さん……。愛用の武器、違うんじゃないですか?」
「__いい観察能力だね。人目が多し、使用許可も降りないもんだから。攻撃としては使えないんだけだろうけど」
そうこう言ってる内に、相手の攻撃が雄の身を捉え__。危ない! と周囲が判断したと同時に、バチっと何かしらの力が働いて紅の大鎌を弾いた。
「雄ちゃん、何したの?」
「スタンガンの応用で発明された、秘密兵器が発動したんだよ。軍には内緒ね♪」
実際は雷魔法の初歩的な防御壁なのだが、コヅキの質問にムグルがイメージし易いよう例えて答える事で難なくクリア。ついでに人目を気にする理由も添えた事で、雄が本気を出せない理由が軍にあると印象付けることに成功した。
「通りで軍人と馴れ合うつもりが無い訳ですね」
「その銃もか?」
「うん、プラズマ現象をヒントに開発された武器でね。エネルギー・チャージが必要なだけで、弾丸は護身用なんだよ」
納得したジークに続いて、キョウの素朴な疑問にもそれらしい解答をしたムグルは、ひとまず自分に弾切れの心配はないと遠回しに伝えたところで忠告する。
「相手は人間じゃなさそうだからね」
現に雄が相手をしている者は、人の形を成しているだけの別物で。攻撃を弾かれて怯んだ隙を狙って発砲した2発の銃撃に、脇腹をえぐられ。左腕を落とされたにも関わらず、喚くことなく再生構築を果たしのだ。
「あれ、進化物じゃないの?」
単なる人間ではないことは、影が無いと認識した時点で分かるものの。人の皮を被った進化物とは、異なる再生スタイルにコヅキが疑問視する。
明らかに進化物とは別物だ。
そこで今までの経験と勘で答えを導き出したリョーイチは、にたり顔でポツリと呟く。
「面白くなってきたぜ」
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