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25話/決断の分かれ目
一方真っ向勝負を仕掛けられた雄は、ほとほと困った状況に追い詰められていた。
__と言うのも、初手を華麗に避けてしまったことで、異常を察した軍人がUターンしてくる可能性が高くなってしまったのだ。
こうなると、目立つ魔法はご法度。身の危険を感じて、先程障壁で軽く攻撃を弾いてしまったものの。アレ以上の魔法は、科学的に説明不可能である。
けど雄の命中率で致命傷を与える確率が低い以上、所持してるアストラルガンで相手を仕留めるのは至難の技。せめて追っ払う事が出来ればと、空いた左手てで腰周りに隠し持っていた武器に触れるが__。
「リョーイチ!」
相方の制止を無視して駆け出したリョーイチが、雄を狙う相手に銃口を向けて三発の銃撃を浴びせた。
しかし、顔に当たりそうになった一発を除いて、その身に風穴を開けた相手は、冷静な態度で掴んだ一発の弾丸を地に落としてから身体を再生。化物や進化物とは異なる時計を模した仮面をリョーイチに向けると、陰を伸ばして化物を三体出現させた。
「明らかにタイプが違いますね」
「アレが本命か」
鞘から刀を抜いたジークが、リョーイチの前に出現した化物を全て沈めて言うと、恐怖を興奮に変えたリョーイチが生き生きとした様子で返答。先が思いやられるとばかりに溜め息を吐きたくなったジークだが、油断は禁物である。更に陰を引き伸ばした相手は、数十体の化物を出現させて指揮をとり始めた。
「邪魔するなとよwww」
「一途過ぎるのも問題ですけどね!」
「早く仕留めて雄ちゃん!」
「弾数にも限界がある!」
軍の支援を勤めたキョウからしてみると、休息・補充無しの第2ラウンド開始!
コヅキの言う事も尤もだが、実力的に相手の隙を作るのが精一杯と判断した雄は、相方ムグルの腕を信じて武器を握りしめると、敵を気を惹き付けるために発砲する。
「相手は俺なんだろ? 真っ黒くろすけ!」
見え透いた挑発だが、適当に撃った銃弾が
相手の太腿を見事にえぐったこともあって効果は抜群のようだ。
再び形成した紅の大鎌で、ホームラン予告のごとく獲物を指し示すと、一気に間合いを詰めて襲いかかってくる。
「まったく……。無茶して欲しくないんだけどな」
一部始終を黙視していたムグルは、ポツリと不満をこぼしてから化物の攻撃をすり抜けて本命を攻撃。
それも正確に頭を狙い撃ちされると判断した相手は、咄嗟に雄から視線を外し__。
「ビンゴ♪」
怯んだ相手の懐に滑り込んだ雄に向けられた銃口は、先程まで乱用していたアストラル・ガンではなく。リョーイチの割込で出番を失っていた魔法拳銃/マジカル・リボルバーである。
それも命中率100%を狙って雷撃弾をお見舞いすると、両手で仮面を覆った相手が初めて呻いた。
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