25話/決断の分かれ目

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「コヅキは、ムグルの頼みで情報収集に専念するだと」 「化物(ポーン)については、知らない事だらけだもんね」 「手帳に何か書いてねぇのか?」 「ん~……。本命の化物(ポーン)に喰われて……。図解からすると、本命から分離? したモノを退治したら、黒い遺骨が出てくるみたいだけど……」 「つー事は、キョウを襲ったタイプってことだな。……面白(おもしれ)ぇ。一泡吹かせてやれるじゃねぇか」  油断していたとは言え、己の不甲斐なさを感じた出来事でもあってか。起き上がってベッドの上に座り直したリョーイチは、握り拳を作って闘志を燃やした。  一方その様子を見ていた雄は、本命が化物(ポーン)を統率していた事から。本命の意識を操り、シュバルツがわざとリョーイチとキョウを狙ったのではないか? との見方を黙って飲み込む事にする。 「結構悔しかったんだね」 「直接目にした訳じゃねぇけどな。それに、結構死に様がグロかったらしな」 「まぁ、直視したらそうだろうね」  しかも目が合った状態で雄が撃ち殺してしまったので、思いの外至近距離で死に様を見てるはずである。 「ただ戦闘タイプと、そうじゃないタイプがいるらしいんだよね。シュバルツは、戦闘経験がある人間を核とした場合とそうじゃない人間(ヒト)の違いなんじゃないかと考えてたみたいだけど」 「ふ~ん、面白い考え方だな。喰った者の経験値を()かして、分身(ポーン)を作ってるってことだろ?」 「そうだね。今回見かけなかったけど」  雄は、本命と戦いながらも周囲の状況は把握してたので。リョーイチ達が弾切れ覚悟で呼び出された化物(ポーン)相手に、奮闘してる様を思い出しながら答えた。  リョーイチも()った後、黒い遺骨を残した化物(ポーン)がいなかったことから。今回の取り巻きに分身個体は含まれていなかった事を前提に、ある可能性を提示する。 「もしかしてストックがねぇんじゃねぇのか? 人間(ヒト)喰ってなくてよ」 「あー、それは有り得る話かも!」  雄はリョーイチの意見に賛同すると、心当たりとして。ヒビキに初めて会った時に見せてもらった報告書を思い出した。  恐らくシュバルツが本命に憑依した日から、殺人を犯したあの紺色パーカー野郎しか事件を起こしておらず……。シュバルツは、人間相手の事件から解決すると見込んで、化物(ポーン)を配置したのだろう。 「それで魔力消費してたのか」 「まりょくしょうひ?」 「あ、ごめん。此方の話」  普段ムグルが隣にいることもあって油断してしまった雄だが、野暮な事は聞かない主義なのか。リョーイチは「ふ~ん」と相槌を打つ程度で、突っ込んで聞いてこなかった。 「とりあえず本命倒す前に、取り巻き蹴散らしてリスクを減らす方針で」 「それもそうだな。早いとこ、キョウに連絡しといてやるか」  けどリョーイチも仕事柄、直感が働く部分もある訳で……。付き合いの長い相方のキョウにだけ、一言LINEで印象を報告した。   ーーやっぱコイツ、       何か隠してやがるぜーー
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