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「コヅキは、ムグルの頼みで情報収集に専念するだと」
「化物については、知らない事だらけだもんね」
「手帳に何か書いてねぇのか?」
「ん~……。本命の化物に喰われて……。図解からすると、本命から分離? したモノを退治したら、黒い遺骨が出てくるみたいだけど……」
「つー事は、キョウを襲ったタイプってことだな。……面白ぇ。一泡吹かせてやれるじゃねぇか」
油断していたとは言え、己の不甲斐なさを感じた出来事でもあってか。起き上がってベッドの上に座り直したリョーイチは、握り拳を作って闘志を燃やした。
一方その様子を見ていた雄は、本命が化物を統率していた事から。本命の意識を操り、シュバルツがわざとリョーイチとキョウを狙ったのではないか? との見方を黙って飲み込む事にする。
「結構悔しかったんだね」
「直接目にした訳じゃねぇけどな。それに、結構死に様がグロかったらしな」
「まぁ、直視したらそうだろうね」
しかも目が合った状態で雄が撃ち殺してしまったので、思いの外至近距離で死に様を見てるはずである。
「ただ戦闘タイプと、そうじゃないタイプがいるらしいんだよね。シュバルツは、戦闘経験がある人間を核とした場合とそうじゃない人間の違いなんじゃないかと考えてたみたいだけど」
「ふ~ん、面白い考え方だな。喰った者の経験値を活かして、分身を作ってるってことだろ?」
「そうだね。今回見かけなかったけど」
雄は、本命と戦いながらも周囲の状況は把握してたので。リョーイチ達が弾切れ覚悟で呼び出された化物相手に、奮闘してる様を思い出しながら答えた。
リョーイチも殺った後、黒い遺骨を残した化物がいなかったことから。今回の取り巻きに分身個体は含まれていなかった事を前提に、ある可能性を提示する。
「もしかしてストックがねぇんじゃねぇのか? 人間喰ってなくてよ」
「あー、それは有り得る話かも!」
雄はリョーイチの意見に賛同すると、心当たりとして。ヒビキに初めて会った時に見せてもらった報告書を思い出した。
恐らくシュバルツが本命に憑依した日から、殺人を犯したあの紺色パーカー野郎しか事件を起こしておらず……。シュバルツは、人間相手の事件から解決すると見込んで、意図的に化物を配置したのだろう。
「それで魔力消費してたのか」
「まりょくしょうひ?」
「あ、ごめん。此方の話」
普段ムグルが隣にいることもあって油断してしまった雄だが、野暮な事は聞かない主義なのか。リョーイチは「ふ~ん」と相槌を打つ程度で、突っ込んで聞いてこなかった。
「とりあえず本命倒す前に、取り巻き蹴散らしてリスクを減らす方針で」
「それもそうだな。早いとこ、キョウに連絡しといてやるか」
けどリョーイチも仕事柄、直感が働く部分もある訳で……。付き合いの長い相方のキョウにだけ、一言LINEで印象を報告した。
ーーやっぱコイツ、
何か隠してやがるぜーー
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