27話/擦れ違う望み

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▽▼▽▼▽▼ 「あっー! 嘘でしょ?!」 「これで確信を得ましたね」  ムスッと頬を膨らませたコヅキの横から、様子を伺っていたジークが冷静に結論を突き付けた。大体元からリョーイチとキョウは、コヅキを傷付けられるのが嫌いで。普段から極力戦闘に加えないよう心がけている。    だけど当の本人は、仲間外れにされているような気がして嫌みたいだ。 「どうしよ~、ジークぅ😭」 「えっ、と……」 「どうしよ、どうしよ、どうしよ! ねぇ、どうしたら良いと思う? ジークぅ💦」 「お、落ち着いて下さい。痛いですよ」 「ぐすん(ノ_・、)」  動揺の余り、ジークの肩を前後に揺さぶったコヅキは、ひとまず潤んだ瞳をぬぐって落ち着いて見せた。恐らくGPSまでOFFられるのは、今回が初めてなのだろう。 「ひとまずヒビキさんに相談してみるのはどうでしょうか?」 「ヒビキさんに?」 「はい。ヒビキさんなら伝があるかもしれません」  でも、コヅキは複雑な表情を浮かべた。  リョーイチとキョウが理由もなく除け者にするはずがない事ぐらいは、言われなくても分かっているからである。 「気が進みませんか?」 「ううん。ただヒビキさんに頼るってことは、内緒にしてきた事も言わなきゃなんないだろうから……」 「でも大抵のことは筒抜けですよ。ボク自身二重スパイのような存在ですからね」  ところがヒビキ自身、最悪GPS機能があると思ってただけに、それが頼りにならない事を知るや否や頭を抱えてしまった。 「どうしたもんかなぁ……」  見事な蜥蜴の尻尾切りに合うと思いもしなかったのは、今までの経験からだ。ヒビキもコヅキと同じように、最悪GPSで位置情報を得ていたのである。 「なんか言ってなかったか? 俺に聞かれたくない事とか、幾らでもあっただろ?」  そう言われなくても、大抵の事知っているだろうと思っているコヅキは、困った様子で隣に立つジークにアイコンタクト。  対してジークも、ある程度の事はヒビキに報告してしまっているので。ふとした瞬間浮かんできた言葉は、リョーイチが言ってた陰口のような話だった。 「そう言えば……。ヒビキさんが痛恨の選択ミスをしたって、リョーイチがLINEで言ってましたけど」 「リョーイチが?」 「なんでも、言ったら雄さんに悪いとかで。結局教えてくれなかったんですけどね」 「確か、ヒビキさんが雄ちゃんを解雇? した後の話だったよね?」 「そうですね。あのお人好しが、ヒビキさんを一杯食わせるとは思わなかったとか」  するとヒビキは、妙に聞き分けが良かった雄の態度に疑問を抱き始めた。当初は、本命の正体がシュバルツだとヒビキに知られた事で、気を遣ってくれたのだと思っていたのだが__。 「なるほどな」  脳内で情報を整理し、リョーイチの言う痛恨の選択ミスを理解したヒビキは顔色を悪くした。雄は、ヒビキがシュバルツを殺す覚悟を一瞬で見抜き。利用される前にヒビキから離れる事を選択したのだ。  ーーヒビキ、見た目に騙されんなよーー  ふとした瞬間に思い出される親友の忠告。  それがもし、彼の経験から言っていることだとしたら……。ヒビキは100%、朱色の鉢巻を靡かせたお人好しな(こと)だろうと思った。 △▲△▲△▲
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