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「ところでフレムさん、新宿までの道のりを知ってるんでしょうか?」
GPSの様子を伺いながら、キョウがムグルに道のりを伝えていると、横から覗きこんできたジークが気掛かりを口にした。
ーーと言うのも、雄は地元の人間ではないし、真後ろに同乗するリョーイチが道案内してるとは思えない程、遠回りをしている様子が伺えたからだ。
するとムグルは、前を向いて運転しながら「恐らく勘だろうね」と答えて、キョウの指示通りの道を走る。
「そんなんで大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。対象は動いてるはずだし、敵は化物だけじゃないから急がば回れってやつだよ。軍の車両じゃないから、見逃してくれないだろうしね」
それを聞いて、ジークが遠ざかる道を後部座席から確認すると、待ち伏せていた数人の人影が呆然と立ち尽くしてた。
一方先行してる雄は、リョーイチに道を確認しながらも、状況を見極めて車が走れそうな道を選びながら現場を目指していた。
無論確認をしときながら、何の相談もなく別の道を走行する雄の行動にご立腹のリョーイチは、苛立った様子でインカム越しに文句を言い放つ。
「おい! 人の話聞いてんのか?! メットに風穴空けんぞ💢💢💢」
「ごめん、ごめん。助けに向かってんのに、蜂の巣になる訳にはいかないからさ」
「蜂の巣?」
「敵は化物だけじゃないんでしょ?」
相手のオウム返しに雄が問い返すと、狙われる要素に心当たりがあったリョーイチは、怒りを沈めて道案内を続けながら問う。
「他に気付いてる事があっか?」
「ん~、化物の姿が見えない事かな」
「避けてる訳じゃなくてか?」
「うん」
詳細な説明は慎むが、リョーイチの質問に神妙な面持ちで肯定した雄は、大通りを廃車でバリゲードされた手前でスピードを落とした。
ーー軍人の姿は無い。
事情を知らぬ者が立ち入らぬよう、少なくとも二・三人程配置される場所だが……。
人材不足のこともっての事なのか。
雄か判断に迷っていると、バイクから降りたリョーイチが周囲を見渡し、「おっかしいな」と前置きをしてから話し出す。
「大体新人が二・三人配置されてんのにいねぇなんて……。とんづらこきやがったな」
「マジか」
我が身を考えたら正しい判断かもしれないが、これでは事情を知らない者が迷い混み。作戦を台無しにされてしまう。
しかし、異様な静けさに違和感を覚えた雄は、バヘルメットを外し__。
「リョーイチ、合流を待とう」
「__そうだな」
得物を抜いて見廻りし始めたリョーイチに声をかけると、GPSを頼りに後からやって来た仲間と徒歩で現地へと向かった。
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