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だが、その頃__。イヌカイと共に現地入りを果たしたヒビキは、黒いロングコートだったはずの裾を地に這わせ。漆黒の小さな沼に佇む独特な光景を前に絶句していた。
ーー恐らく、アレは本体ではないーー
幾ら急所であるはずの仮面を狙って攻撃しても、歯車が埋め込まれたような風貌の白い仮面は、再生を繰り返すばかりで致命傷にならないのだ。
おまけに仮面以外の箇所は、液体のようでありながら、攻撃を受けても波紋すら立たないのが不気味である。
「ヒビキさん……。俺等、何と戦ってるんでしょうかね?」
「そりゃ此方が聞きたいわ」
シュバルツの面影はとうに無く。雄とムグルが独特な武器を所持している理由が、この本命にあるとすれば頷ける。
「退きますか?」
「背中を向けた獲物を素直に見逃してくれると思うか?」
「ですよね」
ここまで大人しくなったのは、ヒビキが現れた事で指揮が上がり、背を向けて逃げ出そうとした者達が再び銃口を向けて抵抗を始めたからだ。
「勝機はあるんですか?」
「希望ならジークに託して来た。最初っからコイツを狙っていた奴等なら、どうにかする術ぐらい持ってることだろ」
「ほんじゃ時間稼ぎするしかありませんね」
指導者としての素質はあっても、銃撃はからっきしなヒビキに代わって、銃器を得意とするイヌカイが前に出る。
「お手柔らかに願いますわ」
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