31話/天罰を下す時

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「で、作戦どうすんだ?」  じゃらりと黒い鎖にからまった白い仮面がインテリアのようも見えてくるが、襲ってこないのはシュバルツ効果なのだろう。  何をどうしたら、こんな事が出来るのか。  理解出来ない部分はあるものの、雄に考えあることだけは分かったリョーイチが尋ねると、彼は目を背けたくなるような化物(ポーン)の数をざっと目で確認してから答える。 「まず手駒を減らしてから、本命をぶち壊すこになりそうだけど……。まずは仲間内に、生きてる事を報告しなきゃだよね」 「それもそうだな」 「忘れてたぜ」  実は合流後、必要性を感じなかったことからヘッドマイクをOFFにしていた雄、リョーイチ、キョウの三人。同時に電源を入れると、聞き覚えのある声が耳に入り__。 「もしもし。こちら、YOU(ワイオウユー)001」 {{{遅い!!}}}  雄が代表して声をかけると、耳をつんざく程の突っ込みの後、お叱りを受ける。 {どれだけ待ってと思うんですか?!} {死んじゃったかと思ったし!!} {さすがに本部に連絡しようかと思ったよ} 「すまん」   「わりぃ」  「ごめんなさい」 {それで現状としては?} 「シュバルツが生きてたからセーフ、て言いたい所だけど……。溜め込んだ化物(ポーン)の数が凄すぎて、対処に困ってるところかな。まだシュバルツのお陰で襲われてはいないんだけどさ」 {なるほどね。そうでなきゃ報告出来ない状況下にあるわけだ}  雄の実力を知るムグルは、少し危機感を覚えて険しい表情を浮かべると、避難のため魔法で出現させた聖大樹(セイント・フォレスト)から漆黒の闇に沈んだ新宿を見下ろした。 {此方は辺り一面漆黒の沼に囲まれたよ。シュバルツさん、限界に近いんじゃない?} 「まぁね。でもそこは、ヒビキさんがフォローしてくれる事になったよ」  尤も突然魔法の事を伝えて、受け入れてくれるかどうかは別問題だが……。様子を伺うように雄が視線を向けると、視線に気付いたヒビキがヘラっと笑って見せた。 {じゃあフレム君は、心置き無く必殺技を出せる状態にあるの?} 「まぁ護衛が二人いることだし、ヒビキさんも手伝ってくれるようだから、本体目掛けての必殺技なら何とかなるよ」 「問題は手駒の数だな」 {そんなに多いの?} 「百発百中で仕留めたとしても足らねぇな」  キョウのコメントにコヅキが質問すると、リョーイチが周囲を見渡して答えた。  此処まで弾を温存して来たとは言え、数名で軍隊程の数を相手にするなど自殺行為だ。 {変異種ですか?} 「いや、ノーマルな奴だと思うが」 「一斉に襲い掛かってこられると、ノーマルが相手でも守りきれない数だぜ。本体が雄を狙わねぇ保証もねぇしな」 {それもそうだね}  ジークの質問に答えたキョウとリョーイチのコメントから、ヒビキの過信し過ぎるのもどうかと考えたムグルは、確実に仕留める安全最優先の提案する。
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