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地面に突き刺さった衝撃で外側の薄い二枚の結界が消滅し、砕けた光の破片が厚い結界に突き刺さった状態で事なきを得たものの。
黒板を爪で引っ掻いたような本体の奇声までは予想出来なかったため、咄嗟に耳を塞いだが吐き気を覚えるぐらいのダメージは食らってしまう。
「大丈夫か? フレム」
「何とか」
けど元々苦手な音だったこともあって、口を押さえて顔色を悪くしたフレムは、集中力を取り戻そうと生唾を飲み込んでから深呼吸した後、気を入れ直して指示を出す。
「シュバルツ。支配を解け、戦闘開始だ!」
「結界は維持出来そうか?」
「最低限としか言いようがない」
「そんなら餞別が必要だな。リョーイチ、キョウ。フレムをよろしく頼む」
そう言って本体の支配を解除した矢先に、シュバルツは時空魔法の加護を二人に与えると、白い仮面が異変を感知して動き出す。
「足下の魔方陣が壊れない限り、フレムの結界から離れても戦闘出来るはずだ」
「Thank You♪ シュバルツのオッサン!」
「雄ちゃんを守りながら戦闘するんよ」
しかし、ヒビキの保護者さながらの忠告も空しく。ウズウズしていたリョーイチは、獲物片手に敵陣に突っ込んで行った。
「ありゃ聞いてねぇな」
今まで相当我慢していたようで、ストレス発散の如く嬉々として戦闘を楽しむリョーイチを見たシュバルツが言った。
「呼び戻すか?」
「いや。リョーイチが囮になってる内に、魔法陣を完成させてしまうよ」
それにムグルの魔法が凄かったとは言え、リョーイチが単独で何とか出来る数しかいないと言う事は、外界に手駒を放出している可能性があるという事だ。現にムグルが魔法を放った後、雑音しか入らなくなったヘッドマイクを外して魔法陣に手を加え始めた雄は、今だ相方が魔法を使用し続けている現状に気付いていた。
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