32話/舞い降りし最強の死神

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「~♪ なかなか息の合った戦闘(プレイ)じゃないか」 「雄ちゃんの方は、どうも調子が出ないみたいだけどね」  口笛を吹いて、リョーイチとキョウの息の合った仕留め合いにシュバルツが褒めると、魔法というものが分からないにしろ。思いのほか難儀しているのか。眉間に(しわ)を寄せて、ぶつくさと呟きながら手を動かす雄を見てヒビキが言った。  すると雄の魔力がやたら変動する様を察知したシュバルツが、心当たりをヒビキに分かり易く説明する。 「オレ等が使う魔法の定義は、他人の力を借りることで成り立ってるからな。お伺いに時間かかってんだよ」 「お伺い?」 「要は、1万でどれだけの力を貸してくれるのか渉してんだよ。魔法を使うための魔力は無限じゃねぇし、自分より強い力を借りれば負担も半端ねぇからな」 「アニメやゲームのようにはいかない訳ね」 「それにラスボス倒して、はい終わりって言える環境じゃないだろ? 力の配分に迷ってんのさ」 「まぁ戦闘中に小競合いされたら、背中を預け切れなくて当然だよね~」  実はヒビキとシュバルツが声量を落として会話してる途中、間合いの取り方にズレが生じたようで。何やら口喧嘩を始めたリョーイチとキョウに向かって、ヒビキが監督らしく「そこぉ、仕事中よー」と注意する。  しかし、数で押してくる敵から誰かを守りながらの戦闘は柄じゃないのか。どうにも依頼主から離れてしまいがちのリョーイチとキョウを見て失敗を予感したヒビキは、やれやれとばかりに肩を落としてシュバルツに視線を送った。 「やるか?」 「でなきゃ死んじゃいそうだかんね」 「ほんじゃま、フレムをよろしく頼む」  今一つ実感が沸かなかったヒビキだが、やる気を出した相手にお願いを託したシュバルツが半透明になり__。   ーーお前も油断しないようになーー  姿が完全に消え失す直前、微かに聞こえたシュバルツの念の押しように、ヒビキは小さく笑った。
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